第三十二回安政遠足侍マラソンに参加した。
この大会のユニークさは、「侍マラソンへ申し込んだ」で紹介したが、通常のマラソン大会と違って、「仮装」が正式に認められている。 今大会も、各参加者が趣向を凝らした姿で、群馬県安中市から長野県境の碓氷峠までの中山道を、峠越えの29.17Kmの峠コースと、峠ふもとまでの20.35Kmの関所コースに、全国から集まった1352人が快走した。
これまで、こんなおもしろい大会があるなんてことは知らなかったが、過去五回出場経験のある、走り仲間のオイちゃんに誘ってもらった。 自分は、シャイで恥ずかしがり屋の性格であるが、大胆で目立ちたがり屋でもあるので、うってつけの大会だと思い二つ返事で参加した。
前日夜に宿舎に入った。 おいちゃんとしんさんがわざわざ駅まで迎えに来てくれた。 小雨が降り、肌寒い天候だったので、明日の天気が気になる。 翌日のスタート時間が午前八時なので、早めに床に着いたが寝つきが悪い。
翌朝、5時半に起き、変身の準備を始める。 自分の仮装テーマは、1980年代のハードロック/ヘビーメタル系のアーチスト。 黒で決めた衣裳に、アクセサリーを散りばめ、本物のエレクトリックギターを携える。 メークもするがグラサンをかけるのであまり関係ない。 本当は金髪に染め上げる予定だったが、長年保管していたためか、ヘアスプレーの中身が変質してしまったようでほとんど水のような液体しか出てこない。 誤算である。
6時半に参加仲間と集合し会場へ向かう。
やはりスタート前の会場の雰囲気は異様な感じだ。 基本の武者姿を筆頭に、 忍者・影武者、江戸時代の魚屋さん、籠の担ぎ手、飛脚など、江戸時代にスリップしたような衣裳から、手作りのシルバーの蓑をまとったトトロ、巨大なカップヌードルのカップをかぶった人、頭の上から爪の先までそっくりのいでたちの寅さん、大正時代の南蛮乙女、母の日にちなんで、全身カーネーション尽くめにした方など、みんなおもいおもいの衣裳でスタートを待つ。
昨夜は天候を心配したが今日は大丈夫。 早朝のうす曇から徐々に日差しが照りつけ始める。
今回一緒に走る自分の仲間の人たちの衣裳は、高校3年生を体現した、鳩山高校の制服に身をまとったおいちゃんと学ラン姿のKさん、侍姿のNさん、かぶりもののマサカズさんが仮装して出場。 また、峠コース優勝を狙うしんさん、今回応援に駆けつけてくれたUさんもいる。
そして、午前8時、スタート。仮装なしの順位を狙うランナーは早々に駆け出していく。 我々はスタート時の渋滞を待って、のんびりと走り出す。 スタートしてからの数キロは、まさに花道といっていいような感じだ。 沿道にギャラリーが途切れない。 ちびっ子からご老人までが、声援を送りながら手をたたいて、走るランナーたちを励ましてくれる。 この感激と感動はこれまで味わったことのないものだ。 自分はもう、行く先の距離は考えず、ハイテンションで、沿道の人たちにギターパフォーマンスをする。
そんな状態で、体が自然に動いたのか、パーティーをあとにし、先に向かう。
やはり気になるのは制限時間である。 ここまで、最後尾車のすぐ前を走っていたので、これはヤバイと思い始める。 自分は今回仮装して走っているといっても、マラソン大会で関門でアウトになるのは、やはり自分にとって許せない。
ギャラリーのいないところで懸命に走り、応援のあるところでパフォーマンスをして休む(?)。 関門が非常に気になる。 しかし、キロ表示がほとんどなく、自分が今何キロ地点を走っているのか、腕時計もしてなかったので、まったく分からない。 でも昨晩、おいちゃんから、キロ7分半が関門シャットアウトのペースだ、と聞いていたので、とにかく歩を進めた。
途中から国道にそった歩道を走ることになる。 ギターを抱えて走る自分を他のランナーたちが異様な目を持って見ていく。 自分はペースを上げたいが、狭い歩道の上では、抜くこともままならず。 前のランナーのペースに合わせ歩を進める。 前が抜けないままイライラ状態が長く続く。 レースと違うんだからこれもありか、と思って我慢する。
そのうちまた田舎道に入る。 自分の感覚時計では、まだゴールまですこし距離があるかなと思っていたが、神社っぽい石段をのぼり、太鼓の音がドンドン聞こえる。 「あー、ここがゴールだ」と思いきや、通過点。 でもここは単なる通過点ではなく、有名な碓氷関所跡である。 しかし、雰囲気的にも、ここがゴールだと感じたランナーはかなり多かっただろう。。。 あとすこし。 まだまだ先は続く。
この地点で、かなり疲れたこともあって、路傍に腰をおろし、後方の仲間たちを待つ。 ギャラリーもいない。 すこしさびしい。 ギターの弦もほとんどが切れてしまった。
しばらく待っても姿が見えないのでまたそのまま走リ始める。
最後の数キロは登りがつづく。 ほとんどの人は歩き状態だ。 でも頑張る。 最期の角を右折するとゴールのゲートが見えた!
疲労困憊なのだが、なんだかこのままゴールゲートをくぐるのがもったいなくて、左右の沿道の人たちに、再度ギターを構え、精一杯のアクションをした後ゴール!
その後すぐ、ゴール手前で仲間のフィニッシュを待つが、自分のゴール後30分以上待ってもまだ来ない。 「ひょっとして収容車?」と、心配になった。 そのうち風が冷たくなり体育館へ移動した。
しかし、その後、Nさんが現れ、仲間みんな無事ゴールしたとのこと。 本当に良かった。
そのあとは、皆で、大会から昼食として支給された、有名な駅弁 「峠の釜飯」を食べながらお互いの労をねぎらった。
自分の場合は、足腰はガクガク。 ギターのストラップを掛けていた左肩の皮はベロンとむけてしまい、ギターのボディが当たるお腹の皮も擦り傷だらけ。 また、走っている間ギターがバウンドしないように右手でグッと押さえつけていたせいで、手首の下が内出血。 この夜は、悲鳴をあげて風呂に入った。。。
帰路は、マサカズさんに、小川町まで車に同乗させてもらった。 マサカズさんも、一緒に関所コースを走ったので当然疲れていたと思うがとても助かった。 ありがたかった。 途中の藤岡で、楽しいイベントをやっていた。 お土産もたくさん買った。
一緒に走ったNさん、Kさん、応援のUさん、峠コースでの快走しんさん。 みんなお世話になりありがとう。
でも、もう今から考えている。 来年はどういう仮装をして走ろうか。。。
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