橋本大二郎さんの最近著、「融通無碍(ゆうずうむげ)」を読んだ。
橋本大二郎と言えば、NHKのキャスターから転進し、現在四期目をつとめる、高知県知事で、全国の知事の中では抜群の知名度を誇る。
この本は、自分史的な位置づけで、生い立ちから、学生時代、NHK社会部記者生活を経て、高知県知事になってからこれまでのエピソードを中心に、話は進められている。
冒頭では、辞職勧告決議の話がドキュメンタリー的に続く。 これが知事生活の中での最大の汚点であっただけに、橋本さんの思いが非常に濃く表れている。
橋本知事が誕生したのが1991年。 ボランティアを中心とした草の根活動がつかんだ勝利だった。 この勝利は衝撃的だった。 これまで、停滞・閉塞していた高知県の政治、経済、文化、社会活動に、くさびを打ち込む画期的な出来事であった。
当選後の、橋本知事は、「高知を変える」という、県にとって有益な改革理念が、変革を望まない、自己保身を優先する議員達が構成する議会との度重なる衝突を生み、各種団体との軋轢等もあって、苦戦を強いられた。 しかし、橋本さんは、そんな状況にも改革の手を緩めることなく、自らの価値観と信念で改革を推し進めていった。
なかでも、人事諮問制度に関しては、民間レベルと言うか、一般常識的にいっても、あたりまえすぎるほどのことだが、橋本さんの前までは、どの知事も廃止の必要性を感じなかったようである。 そういう改革ほど難しいが、橋本知事の強力なリーダーシップのもと、廃止に至った。
その他、この本では、物議をかもし出した、官官接待の廃止、国籍条項の撤廃や、飲酒運転した職員の免職についても触れている。 これらのことを読んで、役所というのは、ここまで前近代的で保守的だったのかと感じた。 これらを提言し、即座に実行した、橋本知事の慧眼と行動力には敬意を表する。
橋本さんは、自分に正直で、言うべきことはきちんと言い、確固とした理念と斬新なアイデアを持って、率先垂範で行動する人なので、旧態依然とした人たちからは、煙たがられたり、距離を置かれたり、いやみを言われたり、非常に誤解を受けやすいタイプだと思う。 しかし、この本を読んで、意外と言っては失礼だが、どちらかと言うと、シャイで図々しさもなく、けっこう気配りができ、バランス感覚に優れた方なんだという印象を受けた。
自分は橋本さんを大いに評価している。 今、高知県に住んではいないが、県外から高知を見つめてみるとよくわかる。 オンラインで見聞きするニュースや新聞、そして、高知に住む知人などの情報をベースにしてではあるが、高知県のイメージは格段にアップしている。 情報発信の頻度が格段に上がっている点と、ニュースの内容が濃く、発展的である点だ。
自分が高知を離れて20年以上たつが、橋本知事が就任した1991年以来、帰省するたびに、高知が良い意味で変わっているのがよく分かる。 目に見えるハード面だけでなく、人心面でも、高知は変わってきていると言う印象を常に受ける。 橋本さんのような人が企業のトップに立ったら、会社も大きく変わるのではないかと強く思う。
高知県政のために尽力している橋本知事を、これからも応援していきたいと思う。
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