土佐の 「りゅうきゅう」
「りゅうきゅう」という名の食材を知っているだろうか?
土佐に夏を告げる食野菜の代表格であるこのりゅうきゅう。 一般的には 「ハスイモ」 と呼ばれる。 その名前から一説には、琉球(今の沖縄県)から伝わったというふうにも聞く。 ハスイモという名前だが、食するのはイモ(芋)の部分ではなく、茎の部分である。 父の郷里の高岡郡葉山村(現在は津野町)では、このりゅうきゅうがよく食される。 実家の庭で栽培していたものを父が送ってくれた。
いろんな食べ方があるが、基本的な下ごしらえは、皮をむき、水にさらしアクをとる。 さらに、塩をふりかけておき水分を出す。 代表的な料理は、酢の物である。 りゅうきゅうから出てきた水分を絞り、ワカメを加え、三杯酢であえる。 仕上げに、すりゴマを少々のせる。 早速、食べてみる。 サッパリとした甘酢の味とともに、りゅうきゅうの持ち味であるシャキシャキとした食感がベストマッチする。 このさわやかさは、間違いなく、土佐の脇役的な夏料理である。 みょうがや大葉の千切りを添えてもおいしいし、酢じめにしたアジや太刀魚を入れて食べたりもする。
2つめは、味噌汁だ。 同じく下ごしらえしたりゅうきゅうをぶつ切りにして味噌汁の中に落として飲む。 味噌汁の具は、煮てやわらかくして食べる具材が多いが、りゅうきゅうのようにやや歯ごたえがの残る具も合うものだ。 油揚げやワカメを入れてもおいしく食べられる。
このりゅうきゅうの持つシャキシャキ感に似た食材を探すとなると、これが難しい。 キュウリやセロリが近いかと思うが、それらとも少し違う。 シャキシャキとした食感は、主に野菜に含まれる繊維質が影響する。 このりゅうきゅうの断面をよく見てみると、細かい穴が繊維に沿ってたくさん開いているのがわかる。 これが、りゅうきゅう特有のさわやかかつソフトな食感を生み出す理由なのかもしれない。
他には、りゅうきゅうを使った寿司もよく食べられる。 土佐には、田舎寿司という郷土料理がある。 田舎寿司とは、山菜をネタにした握り寿司で、全国的にも珍しい料理だが、このネタにもりゅうきゅうが使われる。 箱状の容器に寿司飯を詰め、りゅうきゅうの酢漬けを乗せて、押し寿司にして食べることもある。 他にも、りゅうきゅうは、煮物や炒め物にも合う素材である。
関西地方では、高知ほどではないが、りゅうきゅうが食卓に登ることもあるそうだ。 スーパーマーケットなどの店頭にもこの時期、りゅうきゅうが見られることがあるらしい。 ぜひ、多くの人に食べてもらいたい食材である。
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